補9. その後

補9.その後


『散りぬべき 時は知れども 遅桜 心して吹け 初夏の山風』(珍しく自作)

石油ショック時の高金利と狂乱物価で深手を負い、バブルの時もかやの外でしたが、昨今の低金利のお陰で何とかなっています。

2003年1月1日の毎日新聞社説によると1パーセント強の金利上昇で公的借金の利払いは消費税全額相当の10兆円の税金を吹き飛ばすそうです。多くの企業が無借金経営とは考えられないのですが、この低金利の恩恵の声があまり聞かれないのは不思議です。

2日の社説では、個人金融資産はバブル崩壊後13年で1000兆から1400兆に増えているとか、物価の下落を考えると実質2倍以上になっていると考えられます。

おかげで個人的に限ればやっとマイナスから抜け出す事が出来、今年はプラス目標と振出しに戻す事が出来ましたが古稀(数え)を迎えてしまいました。

《 2003(15)/1 》

1.今までの趣味の完了

C型肝炎も一応の治癒を見てから10年、最初のうちは再発が気になり年に一二度のエコーや血液検査の度に不安になりましたが、この歳になると例え再発しても命取りになるのは他の病気だろうと考え、検査を止めました。これからなる病気は全て老化によるもの晩年の始皇帝の様にはなりたくないと思ったのと、補8.読書の項に記載の「医者がススメル安楽死 柴田二郎 新潮社」を読んだのも検査を止めた理由です。

その他の趣味も全てC肝と同じく一応自分では満足できる結果を得ると、その後急速に興味を失いましたが、ストレス解消というか、癒しというか、その様なものがリタイアするまでは絶対に必要で、無いと体が持たない気がして新しい趣味探しを始めました。リタイア後については月並みですが晴耕雨読のつもりです、床に即中斎筆の撫松庵の軸でも掛け、のんびりしたい(今でものんびりしているとか無精者と言われていますが)と思っています。

2.新しい趣味

先ずは止めていたアルコールの復活、しかし以前と違い品種・銘柄・器等に興味が無くなり、納戸に保管していた芋焼酎を消化しているだけで、趣味とは云えなくなっていました。少しでも興味を持った事にすぐ首を突っ込んできた所為で、新たに興味が持てるものを探すのに苦労しましたが、なぜか日本刀に心が引かれました。しかし調べてみるといろんな意味で難しすぎ、また良い物は非常に高価で手が出ません。

そんな訳で鉄味という物が理解できるような年齢になった事から鐔を対象に選びました。

多年古陶磁などに興味を持って来たおかげで、短期間の間に気に入った物を手に入れることが出来ました。金さえ出せばとお考えの方も居られると思いますが、本筋ものはめったに無く、縁とノウハウが無いとなかなか入手できないものです。

鐔は金工のは非常に高値なのとなぜか馴染まないので鉄鐔にしました。そして歴史の重みを滲みこませた味わい深い鉄色(尾張系)、造形文様のおもしろさ(京透)、卓越した技術(後藤常正)など鉄鐔の魅力を代表している品々がゲット出来ました。

耳(鐔の外周部)の装飾なども鉄骨(尾張系)、赤銅覆輪(京透)、金象嵌(後藤常正)と分かれ、全体的に観ても武骨(尾張系)、雅(京透)、粋(後藤常正)と三者三様です。

また、春(後藤常正の桜と筏)、夏(尾張系の若葉)、秋(京透の菊)と季も分かれていますし、通勤の途中お城を抜けるので春の桜、秋の菊花展と其の度に今年も見ることが出来たな、後何回見られるかな、など考えるので他の花と違った思い入れもあります。

京透鐔は室町期のもので、細工・上品さに卓越し透鐔の王者とされています。

後藤常正の花筏は、「散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ」の歌を表したものとして、老後の戒めとしています。

秋のもみじの下を流れる筏も同じく長閑で風情がありますが、これには筏師が付き、見た目通りの画題で有るのに対し、花筏には筏師が付きません。これは散った花が集って流されているのを筏に見立てているので、咲き誇る花と対比させているのだと思います。

後藤常正の鐔は、この様な思い入れのほかに、鉄鐔としては細工が細密を極め、しかも細密な細工物に有りがちな上品さに欠ける所が無いのが気に入っています。

その後、文房四宝に興味が移り、端渓水巖蕉葉白・丁敬在銘在印、瞳の朱点が明瞭で質の良い半辺山灰蒼色抄手9従星端硯、高麗硯、約束の共鞘で皎嶽蔵の存星蒔絵筆、唐墨和墨、さらにそれに付随する古銅印に魅かれ、戦国・秦・漢印、高麗ミミズ印、チベット印、鶏頭紐印、糸印などを集めました。

それから、王冶梅箱書きの丁稚具輪玉水注ぎ、西周後期銅鍾、書院床の文房具飾として欠くことのできない刀子は中東の象嵌小刀共鞘( 徳川美術館蔵品の刀子もなぜか中東 )、七紘琴形文鎮、天堂富貴( 現世では富貴いずれも縁が遠かったので )の銘入り白珪硯屏、古赤絵水盂、環凍古印など色々な品を集めとうとう茶漆塗りと木地のあかざの杖まで求めました。残りは鶴裳衣のみですが、さすがにこれは家族の反対で購入していません。

おかげで、会社解散のストレスを和らげ無病で過ごす事が出来ました。

この他に怪石、これも必須のものですが、刀子と同じく入手に苦労しました。怪石では何といっても霊壁石ですが、入手出来るのは大きいものばかりで机上の清玩・鑑賞の物にはなりません。それに文献上で見られるのと形状・色彩が異なるのばかりで、これは原地中国でも同じです。だからと云って我が国の水石では全然イメージが違います。たまたま、賤機石の銘が遊雲というのが手に入ったのですが、今のところ銘・形状・色彩・大きさなど気に入っています。

『世の川で浮ぶこと無き石塊も、今は自在の遊び雲かな』(これも自作)とよみ、遊雲を雅号としました。鶏頭紐印の印面( 餻云居、これはこううんきょと読むので幸運居と兼ねています )を堂号としていたので、堂号、雅号とそろいました。

その後、理想的な怪石が入手出来たので賤機石はお蔵入りとなり、遊雲という雅号も取り止め今のところ堂号のみとなりました。

なお、これらの収集は2003(15)/1~2009(21)/1にわたっているので、他の項目と期間が重なっている場合が有ります。

《 2009(21)/1/30》

例によって刀・鐔・文房諸宝・古銅印等について古本、新刊、を買いあさりネットやお店探訪に熱中しましたので、結構大量の資料が出来ました。収集した品と合せていろいろ紹介したいのですがH.P.に載せると今載せている分の倍以上になりそうです。

たまたまあるH.P.の中で『病気の事を調べたくてお医者さんのを見ると、必ず趣味の項があってしかもその方に重点を置いている。これは止めて欲しいと思います』と有りました。

私のH.P.はもともと趣味の項から始まったので別だと言いたいのですが、あまり長くなるとやはり叱られそうなので、この辺で止めておきます。

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